ハミ出し商社マンの徒然草

思ったことをツブやきます

商社マンが語る各国のコロナウィルス対応(目的や手段が文化よって様々)


コロナウィルスの対策における最終目的と世界各国の対応違いについて記載し、自分が各国のトップだった場合にどのような対策を取るかシミュレーションしてみようと思います。

 

様々な国が政策を打ち出していますが国家と言う集団をリードする以上、何が最終ゴールなのか、ということをクリアにする必要があると思います。

コロナウィルスが収束するためのシナリオを考えると以下の3つに集約されるのではないかと考えます。

①ウィルスに対するワクチンができる

②ウィルスに対する対抗薬(インフルエンザに対するタミフルのようなもの)ができる

③集団免疫ができて、風邪のようになる

 

実態としては上記のどれかの「合わせ技」になることが現実的です。

 

これを念頭に各国の政治家が回避すべき定量的な目標は以下の3つだと考えます。

❶感染者の数を減らす

❷死亡者の数を減らす

❸自粛による経済的な破産を減らす

 

❷は❶の結果でもあり、強い相関があり、まずは❶を減らすことに主眼が置かれがちです。
また❸は短期的には顕在化しませんが、❶を達成しようとして「ロックダウウン(都市閉鎖)」すると副作用として時間を経てあらわれてきます。

ポンチ絵にすると以下のようになります。

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上記で明らかなように定量的な帰結は「死亡者数」で表わされることから、政策の成否は、この数値で評価することが最善だと考えます。

 

この課題の興味深いところは、様々な打ち手の中に多くのトレードオフが含まれており、これが各国の政治、経済、文化と絡まりあっているところです。個別に見ていきましょう。

 

まずは中国を考えると、①と②を主眼に置いて封鎖などのアクションを取り押さえ込みが成功したように見えますが、実態としては幸運にも③にことが至っているだけではないか、と見ています。(中国人の知り合いに確認しても事実隠蔽しているようにも見受けられず、アップルも中国で営業していることから、抑えこめているものと考えます。)しかし、このような抑え込みができるのは「共産党一党独裁」によるものであり、マネできる国は希少でしょう。(シンガポールとかドバイくらい?)

 

ドイツですが、驚くべき医療体制の充実で「しっかり検査して、感染者は治療する」という極めてまっとうな手法で死亡者数を抑え込んでいます。勤勉な国民性に起因する医療体制の強さ、強靭な国家財政に支えられた国家補助で、この危機を一番上手く乗り切った国家だと思います。メルケル首相のリーダーシップも危機に瀕して復活、国力の強さを感じます。
これを真似できる国は北欧のノルウェーとかスウェーデンくらいでしょうか?

 

イギリスは③の「集団免疫の確立」で対応しようとしましたが、「ロックダウン」への方向転換を余儀なくされました。これは先進的な免疫学の集積から、ワクチンや対抗薬よりも集団免疫の獲得が早いと判断したのでしょう。おそらく「ロックダウンへの方向変換」は政治的なポーズであり、実態として集団免疫への方向は変わっていないものと見ています。したがい一時的な混乱で経済的な谷は深いと思いますが、復活も早いとみています。(これに似た政策をとっているのはオランダですかね。)

 

アメリカは正直、どこに向かっているのか、良く見えません。自国民の安全よりも選挙対策に優先順位のあるリーダーであることは想像できるのですが、各地域ごとの格差が大きすぎて一貫した政策が取れないように見えます。失業を守るセーフティーネット(北欧は国、南欧は家族、日本は企業)もなく、分断が加速、コロナ後の傷跡が一番深くなる国だと思います。(これに似た国はありません。さすが、世界の超大国。)

 

オーストラリアについては「鎖国政策」であり、ワクチン、対抗薬、集団免疫のいずれにもよらず、中国がSARSを抑え込んだ形を模倣しているのでしょう。西海岸のパースは地理的に孤立して感染が遅れた一方で、国家政策は東海岸の大都市(シドニーメルボルン)で決められたという時差を活用して、「鎖国政策」が功を奏するとみています。ちなみに、これにに似た国もありません。(南極大陸くらいか?もしくは国土の広いロシア?)

 

最後に我が日本ですが、オリンピックに配慮して当初は「放置プレイ」でした。これが「駆け込み検査が引き起こすクラスター感染」を結果として引き起こさなかったのではないかと考えます。(検査の是非については堀江貴文さんと楽天の三木谷さんが、正反対の立場をとり興味深かったです。)結果として、一時的には感染爆発はしませんでした。ヤタロウとしては「既に集団免疫ができている」という仮説を支持します。(なお医学的根拠ありません。)その後、周回遅れで「ロックダウン」議論が巻き起こり、海外在住のヤタロウ視点では不可解に映ります。

 

最後に、昨日、コロナの抗体検査の記事を読みました。


ワクチン、対抗薬が早期にできないという前提では、「集団免疫」+「抗体のある人による経済活動」が日本にとっては最善のシナリオであるような気がします。したがい、ヤタロウが日本の為政者であれば、抗体検査の拡充、医療体制の充実、分別のある自粛(何でもかんでも中止ではなく)で集団免疫の獲得がメインシナリオです。(政治家の方は、そうは言えないのでしょうけれど。)